こんなひとにおすすめ
・息苦しい毎日を過ごしている
・自分の存在価値について悩んでいる
・肩の力を抜きたい
読みどころ
「レンタルなんもしない人」という、ただそこにいるだけ、人間ひとり分の存在を一時的に貸し出すだけ、のサービスを始めた男性の実録です。
受ける依頼内容は、「一人では入りにくいお店に同行してほしい」「部屋の掃除をするのを見守ってほしい」「知り合いには話せない話を聞いてほしい」など、ほとんど何もしないことで成立することに限られています。
依頼を通して様々な人の日常や心情に触れているのですが、色んな生き方や想いがあるんだなぁと、当たり前のことを改めて考えた一冊でした。
ドラマチックではないけど、だからこそ逆に希望が持てる、ゆるいドキュメンタリーみたいな感覚です。“家族でも友達でも恋人でもない人”に需要があって、そこに面白さとか苦しさとか、今を生きる人の心の複雑さを感じられます。
AIだったらできて当たり前のことを、できて当たり前じゃない人間にわざわざ頼むことでそういう効果が得られるのだとしたら、スペックの低さが人間の持ち味なのかもしれない。
レンタルなんもしない人(著)『〈レンタルなんもしない人〉というサービスをはじめます。: スペックゼロでお金と仕事と人間関係をめぐって考えたこと』p173より引用
出版:河出書房新社(2019/5/21)